県知事ら宛てに緊急要望書提出
11月30日付の山形新聞の報道によると、東京電力福島第1原発事故の影響を心配して、福島県から山形県に自主避難している母親らでつくる「山形自主避難母の会(中村美紀代表)」が同29日、山形県を訪れた郡山市議に対し、自主避難への福島県の支援を求める緊急要望書を、約300人の母親らの署名を添えて提出したと報じている。
現在、山形県内には約1万3000人が避難生活を送っているが、大半が夫を福島に残し、母子だけが借り上げ住宅などで避難生活を送っている。
(※写真はイメージ)
要望書の内容は
(1)乳幼児医療と予防接種の負担軽減(2)避難先への住民票移動を不要とする避難者専用の託児施設設置(3)避難先へ通う夫のための往復バス便の開設
-など5項目で、佐藤雄平福島県知事、原正夫郡山市長宛てで、山形市スポーツセンターに設置されている山形市避難者交流支援センターを訪れた蛇石郁子、滝田春奈の両郡山市議に提出したという。
記事には、懇談には約30人の母子らが参加し
「5~10年スパンで自主避難への支援を考えてほしい」
といった要望や
「(福島市、郡山市などの放射線量に関し)国が大丈夫とするのが問題」「行政が住民に丸投げするから自主避難者と福島に残る人との間に溝ができる」
など、国や東電、福島県の対応を批判する切実な声が寄せられたことが書かれている。
自主避難者と滞在者に一律8万円支給、子どもと妊婦には40万円
今月6日には、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久・学習院大教授)が、原発事故後に政府が避難指示を出した区域以外の福島県内の被災者に対し、福島市や郡山市、いわき市など23市町村から避難した人(自主避難者)と自宅にとどまった人(滞在者)に一律8万円、子供(18歳以下)と妊婦には40万円の賠償を認めるとする指針をまとめたばかりだ。
今回出された指針や山形自主避難母の会が提出した要望書によって、自主避難者と福島に残って生活をしている人との間に、生じているとされる溝が、どれだけ埋まるかは未知数だが、福島県外での2重生活に耐えながら、慣れない環境で子育てに奮闘するママたちの苦しみが少しでも和らぐことを願わずにはいられない。
山形新聞
http://yamagata-np.jp/news/201111/29/kj_2011112900914.php