子どもを守るのに必要な犯罪歴チェック
子どもに接する仕事に就く者は、犯罪歴チェックを受けて自らがクリーンであることを証明しなければならない――。豪州ニューサウスウェールズ州(NSW)で、こんな法改正案が検討されている。
子どもに関わる仕事に就く者を雇用する企業は、その者が子どもたちを危険にさらすことはないことを確認しなければならない。だがそのために発生する費用は、雇用主側から応募者側へ移行される見通しで、そうなると一人当たり約60豪ドル(約4,800円)の負担がかかると予想される。
法改正の背景
今回の改正案は、現行の審査方法の妥当性を検討した結果、NSW青少年委員会の大幅な見直しが行われたことが背景にある。改正案は既に青少年問題担当大臣に提出され、三月に議会で討議される。
この案は、子どもに接する仕事に就く者はブルーカードと呼ばれるカードを携帯しなくてはならないという、クイーンズランド州の法律に倣ったものだと言われている。
青少年問題担当大臣の広報担当者によると、犯罪歴チェックのシステムについては政府も変更が必要だと考えている点が何点かあるとのことだ。だが前述の広報担当者は、「どう変更すべきか、まだ具体的に検討する段階ではない」と語っている。
「安全」の証、ブルーカード
ブルーカードの申請には、61豪ドルという費用と、国が定めた細かい方法での犯罪歴チェックを受けることが必須となる。ここでのチェックには、何らかの不法行為に対する容疑および有罪判決を受けたことがないか、前科がないか、児童保護命令や児童に関わる業務に就くことを禁ずる命令の申し立てをされていないか(その準備段階を含む)、2004年に定められた児童保護法に基づく、通報の対象となるような事実はないか、などが含まれる。
法的な処分を受けなくても児童に対する性犯罪の疑惑があればそれも考慮され、更生施設への入所の必要がないかも調べられる。
無事チェックを通過した者にはブルーカードが交付され、それを提示することで子どもに接する仕事に就くのに適した人材であるとアピールできる。ブルーカードの登場で、豪州政府も児童保護に関する法律の国内統一に一歩踏み出すこととなった。
承認されれば、どう変わるのか
昨年議会を通過した改正案では、訴えが棄却されたり無罪放免となった小児性愛者なども、子どもと接する仕事に就くことを禁じている。また、児童への性犯罪者は一般的な犯罪を犯す傾向にあるとの犯罪学研究所からの助言に基づき、子どもに対する犯罪とは無関係の犯罪歴がある者の就業も禁じられている。
さらにこの改正案では、子どもに接する仕事に就く者は、自らの犯罪歴が調べられることに同意する必要がある。同意できない場合は、仕事への応募が取り消されてしまう。また全ての州に、ある特定の個人に対して児童への性犯罪容疑やその判決結果を確認する義務が生じるのだという。
(編集部 小川優子)
Youth workers may pay $60 for security checks