埼玉県の公立小学校が性同一性障害(GID)と診断された小学2年の男児(8)に対し、学年の途中から女児としての登校を認めていることが分かった。性同一性障害学会によると、小学生が学年途中で性別を変える例は珍しいという。
市の助言で医療機関を受診、GIDと診断される
家族らによると、男児は幼稚園入園前から「女の子になりたい」と話していた。小学校入学後は男児用の水着を着たり立って小便することへの苦痛を激しく訴え、不眠がちになった。2008年10月、母親が市に相談。市の助言で昨年2月に埼玉医科大のジェンダークリニックを受診、翌月GIDと診断された。主治医は「就学などの適応を阻害しないよう女性として扱う配慮が望ましい」と意見を付けた。
教育委員会や学校は「子どもの苦痛を取り除き、気持ちを最優先する」と判断。学校側は昨年9月の始業式で校長が全校児童に事情を説明。男児の母親も同じクラスの保護者に事実を伝え、理解を得たという。
児童はスカートをはいて学校に行けるのがうれしいと話す
以降、男児は学籍は男児のままだが、女児と分かる服装で通学。女性職員用のトイレを使用し、体育の授業などの整列時には女児の列に並ぶなどしている。運動会の徒競走では体力差を考慮して男児と走った。児童は「からかわれることもあるけれど、スカートをはいて学校に行けるのがうれしい。女の子の友だちもたくさんできた」と話している。
埼玉県教育局によると、県立高校で、2007年度にGIDの女子生徒が3年の進級時から、男子生徒として通学が認められたケースがある。
埼玉県教育委員会