中央社会保険医療協議会(中医協)は12日午前の総会で、2010年度診療報酬改定案を決定し、長妻昭厚生労働相に答申した。医療崩壊が問題となる中、医療機関に支払われる診療報酬が10年ぶりに増額され、妊産婦らの救急医療や、小児、高度医療などの支援を強化する内容となった。疲弊している病院勤務医の待遇改善が狙いだが、救急入院料などで患者負担が増える。
乳幼児の入院費は増額
自公政権時代の社会保障費の抑制策で、2年ごとに改定される診療報酬は4回続けてマイナス。これが、救急患者のたらい回しなど医療崩壊につながったとされる。この立て直しのため、鳩山内閣は2010年度はプラス改定とし、医師の治療行為に対する報酬分として5700億円増額した。
重点課題は、医師不足が問題となっている救急や産科、小児科、外科の再建と、過重労働を強いられている病院勤務医の負担軽減だ。救急医療など、早期に手厚い治療が必要な「急性期入院医療」に増額分のうち4千億円を充てる。
重症患者を扱う2次救急医療機関に救急搬送された患者や乳幼児の入院費は増額。社会問題化した妊婦のたらい回しを防ぐため、救急搬送された妊産婦を受け入れた医療機関の入院費を大幅に上げる。
ハイリスク出産の料金も値上げ
切迫早産に伴う帝王切開など、リスクの高いお産の料金も上がる。新生児集中治療室(NICU)が満床になる問題への対応として、NICUの患者を受け入れた病床では別途1日5万4千円かかる。
深刻な「外科離れ」対策には、約1800項目ある手術料の半数ほどを増額。難易度が高く、人手がいる手術の料金は3~5割増となる。
厚生労働省