学校教育のスタート時点ですでに差が
貧しい家庭の子どもと裕福な家庭の子の語彙力は、就学時までに一年分の差がつく。そんなことが最近のイギリスの研究で明らかにされた。本記事では二回にわたり、子どもの家庭環境を取り巻く各種条件がどのように結果に影響したのか、その内容を紹介していこう。
調査に資金を援助した慈善団体、サトン信託は、教育の不平等さはこんなにも小さい頃からすでに始まっており、不利な家庭に生まれた子どもはずっと学校の勉強についていくだけで精一杯な学校生活を送ることになる、として、差別化された現状を「現代社会の悲劇だ」と非難した。
貧困家庭の子どもは、両親が高等教育を受けていない、規則的な生活が送れない、そして生みの両親に育ててもらえない、などのうち複数の条件に当てはまることが多いことがわかっている。
親の収入差 低所得家庭の子どもは不利に
調査では、ブリストル大学とコロンビア大学が合同で、イギリスに住む12,644人の五歳児のサンプル集団に対して、2006年と2007年の二年間で単語テストを行った。調査団はその結果から発達年齢を算出し、平均点との比較を行った。
裕福な家庭の子と貧しい家庭の子の差は歴然としており、中流家庭と貧困家庭の差もはっきりと現れた。
【貧困家庭】
年収平均(税引き前、以下同じ):約10,300ポンド(約144万円)
発達年齢:4歳5~6カ月
【中流家庭】
年収平均:約30,000ポンド(約420万円)
発達年齢:5歳4~5カ月
【金持ち家庭】
年収平均:約80,000ポンド(約1,120万円)
発達年齢:5歳9~10カ月
この結果を見ると、貧困家庭と中流家庭の差は実に11カ月、金持ち仮定の場合はさらに5カ月以上の開きがあったことになる。
一方で、収入そのものが影響したと思われるのは点数に差が出た例の中の3分の1程度だったが、グループ間の育児方法の違いが影響したと思われるものは半数近くあった。
次回は、調査の結果差が現れたとされる育児方法の違いについて紹介する。
(編集部 小川優子)
Poor children a year behind in language skills