「科学的根拠が不明確」と批判
福島第一原発の事故をめぐって、文部科学省が幼稚園や学校などでの放射能許容量を年間20ミリシーベルトとしている問題について、日本医師会が5月12日に見解を発表した。
文部科学省「福島県内の学校・校庭等の利用判断における 暫定的な考え方」に対する日本医師会の見解と題する声明文では、根拠としている国際放射線防護委員会(ICRP)の1~20ミリシーベルトについて、「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、1~20ミリシーベルト/年の範囲で考えることも可能」としているに過ぎないと指摘、この最大値の20ミリシーベルトとしたことに「科学的根拠が不明確」と批判、子どもについて「国の対応はより 慎重であるべきと考える」としている。
20mSvに反発が広がり続け
この上限値20ミリシーベルトについては、小佐古敏荘東大教授が高すぎるとして内閣官房参与を辞任するなど、波紋が広がり、不安の声が高まっていた。市民などの反発に対して政府はこの上限値を変えるつもりはないようだが、この20ミリシーベルトという数値については、どう考えればよいのか難しいようだ。
文科省が12日に発表した試算では、年間の被ばく量が約10ミリシーベルトということで、屋外活動の自粛などについて再検討する見通しだと報じられているが、この数値もどうとらえたらいいのか難しい。
子どもたちの未来を心配する親や学校の先生たちの気持ちを考えれば、文科省ももっとていねいで心のこもった説明を心がけるべきではないだろうか。20ミリシーベルトの見直しを強く求める動きはまだまだ続いているようだ。
日本医師会
http://www.med.or.jp/日本医師会の見解(PDFファイル)
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110512_31.pdf