赤ちゃんへの注意喚起を怠っていた疑い
生まれたばかりの赤ちゃんが脳障害を負ったとして26日、母乳育児推奨の国と病院を相手取り両親が損害賠償を求める訴えを起こした。
訴状によると、病院は新生児に母乳のみを与える完全母乳栄養法を採用し、訴えを起こした両親の女児も出産後1時間ほどベッドで寝かされ、未明に手足が冷たいと看護師に訴えるも温めるよう指示されただけであった。女児は帝王切開で健康に生まれたが、12時間後に心肺停止状態となり蘇生措置を受けて新生児集中治療室のある機関へ搬送され、低血糖症と診断された。一命は取り留めたものの自発呼吸ができず、寝たきりとなっている。
出産後母子が裸で抱き合うカンガルーケア中の事故は全国で年間何件も報告されている。しかしカンガルーケアや母乳育児のメリットは替えがたいものはある。どうすれば痛ましい事故は防げたのか。
マニュアル通りにはいかない出産・育児
新生児は正常に生まれてきても自力で体温を調節する機能は未完全である。また出産直後、母親はすぐには母乳が出ないケースが多い。出産が始めてならなおさらである。
母乳育児は良好な母子関係の構築には有効である。人工乳で育つ子どもより糖尿病や肥満の発症リスクも低い。こういったメリットはよく知られているが、新生児や母親には個人差が大きいのでマニュアルを鵜呑みにして新生児の状態を観察することを怠るのは危険である。
多くの報道では国が推奨する母乳育児に非があるかのように書かれているが、母乳で子どもを育てていくことには問題はないと思われる。生まれたばかりの新生児に対する栄養や体温管理について産院側は母親任せにせず、細心の注意を払うべきであった。
育児雑誌等でも、母親へ出産や子育ての情報提供はあっても産後直後の新生児や母親についてはあまり触れられていない。命にかかわる大切な時間なので、初めて子どもを持つ母親には特に、産院などでの情報提供を確実にしてもらいたい。
MSN産経ニュース記事-
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111026/trl11102615100003-n1.htm