不活化ワクチンへの切り替えを待つ
乳幼児のポリオ(小児マヒ)の予防接種で使われてきた生ワクチン接種を避ける動きが全国的に出ている。生ワクチンに使われる副作用や2次感染の危険性、また厚生労働省が不活化ワクチンの導入を進めていることが原因となっている。
厚生労働省によると、4~6月の全国での接種人数は前年同期と比べて約18%減となっている。医療機関では不活化ワクチンを輸入して提供する動きもあるが、不活化ワクチンは現状では未承認のため、実費負担となるうえに、健康被害が生じても国の公的救済の対象とはならない。
厚生労働省は不活化ワクチンの導入は早くても2012年の終わりごろとし、接種控えによるポリオ感染に警鐘を鳴らしている。
現状を知って判断を
ポリオの生ワクチンは2回定期接種が行われている。生ワクチンにより国内では100万人に1.4人の割合で小児マヒを発症している。過去10年間では15人が予防接種による健康被害で国の救済を受けた。
また、昭和50,51年ごろに生まれた人はポリオによる免疫獲得が低い。この世代が親となり、子どもが受けた生ワクチンが原因で2次感染を起こすケースも報告されている。
先進国の中でポリオの不活化ワクチンが使用されていないのは日本くらいである。不活化ワクチンを導入している諸外国では接種による副作用のマヒは起きないとされている。
しかし、接種を先送りして海外のポリオ流行地域から持ち込まれるウイルスに感染する可能性も否定できない。不活化ワクチン導入までには時間がかかるので、接種控えによる感染リスクを減らすためにも厚生労働省は従来の生ワクチンの接種を呼びかけている。
ポリオの会 ワクチンについて-
http://www5b.biglobe.ne.jp/polio/vaccine.html厚生労働省 ポリオとポリオワクチンについて-
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/qa.html