助成金や給付金を使えば個人負担は減
厚生労働省が発表している「我が国における分娩にかかる費用等の実態調査」によると、妊娠から出産までの「妊婦検診」は平均14回で10万円以上である。これに対しては自治体ごとで差はあるものの、地方自治体から助成が出る。
分娩費用も居住地区によって差はあるが、40万円前後となる。こちらも妊娠4カ月目(85日)以上の出産については、健康保険から「出産育児一時金(家族出産育児一時金)」42万円が給付される。「直接支払制度」を利用すれば、出産する医療機関等へ出産育児一時金を直接支払ってもらえるので、退院時には超過した分を窓口へ払えば良いので、事前に大金を準備する必要はない。
このほか、健康保険(国民健康保険は除く)の被保険者がが出産する場合に仕事を休んで賃金・給与を受け取らなかった場合には、出産の日以前42日目から、出産の翌日以後56日目の間、平均報酬日額の2/3を受け取ることができる。
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あまり知られていない不妊治療費
不妊治療では保険が適応になるものとならないものがある。一般的な不妊治療は保険対象だが、「人工授精」、「体外受精」、「顕微授精」など生殖補助医療は保険の適用外となる。体外受精や顕微授精は1回30万円~40万円と高額な上に治療が長期に渡るケースが多く、経済的また精神的に負担を強いられる。
「体外受精」、「顕微授精」は1年度あたり1回15万円で初年度3回、翌年以降は年2回、通算5年度合計10回まで給付を受けることができる。所得制限が設けられており、また地方自治体によっても金額が変わるので治療を考える際には問い合わせをしてほしい。
医療保険への加入はどう考える
不妊治療を考えるひとは、治療開始前に医療保険へ加入するのがベストである。治療中は医療保険に加入できなかったり、子宮など特定部位に関して担保されないケースもある。
また、帝王切開は保険適応であり、保険に入っていれば手術給付金などを受け取ることができる。一度帝王切開を経験した女性は次の出産時も帝王切開になる可能性が極めて高いため、保険審査が厳しくなる。医療保険への加入を検討するなら妊娠・出産を考える前が良い。
厚生労働科学研究費補助金・厚生労働科学特別研究事業「我が国における分娩にかかる費用等の実態調査」
http://www.jaog.or.jp/know/kisyakon/23_090610.pdf厚生労働省「妊婦健康診査の公費負担の状況にかかる調査結果について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001ylvj-att/2r9852000001ylx0.pdf