横浜市の田村幸久教育長は、26日に開かれた理事会で2011年度にも実施を予定していた「学校選択制」のモデル実施を見送ると報告した。
市教委が示した学校選択制の試行案では、11年度にも市内18区中1区程度の市立中学校でモデル実施し、課題や効果を検証する計画だったが、学校選択制そのものに対して、学校現場やPTA関係者らから慎重論が相次いだため、配慮する形となった。実施時期は未定のまま、導入の是非について議論を重ねる。
「学校間の学力的な格差」が懸念材料
昨年9月から3回にわたり議論してきた検討委では、現場の小中学校長から「地域とのつながりが希薄になる上、学校間に学力的な格差が生じる」「市教委が推進する『小中一貫教育推進ブロック』と矛盾する。」といった意見が出されており、肯定派の学識経験者らと意見が割れ、一定の結論を見ないまま、判断は市教育委員会に委ねられていた。
そもそも市教委が学校選択制の導入を目指す理由の一つに、市立小児童の2割近くが私立中学に進学する中で、市立校独自の特色や強みを打ち出すという狙いがある。「推進積極派」(関係者)の田村教育長の下、11年度試行を本格導入への足掛かりとしたい考えがあったが、一歩後退することとなった。
横浜市教育委員会