中学受験者数が過去20年で2番目の高水準
大手進学塾・日能研(本部・横浜市港北区)の推計調査によると、2010年の中学入試で、1都3県の受験者数が6万1500人に上ったことが分かった。これは、過去20年で2番目の高水準を維持。不況に苦しむ日本で、大学受験は国公立が人気だが、中学受験は違う結果が出た。
今年同様、厳しい不況であった09年が過去最多の受験者数。09年に比べれば微減したが、今年も私立中学校が根強い人気を誇った。先行き不透明な時代だからこそ、教育に投資しようと考える保護者が多いことが裏付けられた。
受験生1人が入試を受ける学校数は不況で減少が予想されていたものの、09年と変わらず平均5校。日能研の担当者は「小学4年のころから準備を始めている受験生が多く、不景気だからといって受験を控えるケースは少ないのではないか」と推察する。
保護者は生活費を節約して子どもの将来に投資
日能研が総応募者数を基に推計した1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の国公立と私立中学の受験者数は、前年比で2700人の減少。受験した小学6年児童の割合を示す受験率も20・3%と、09年を0・9ポイント下回った。それでも08年に比べれば、受験者数は500人増加しており、私立中学人気に陰りは見られなかった。
文部科学省が1月27日に発表した「08年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校卒業まで私立学校に通った場合の学習費は約1663万円で、公立の場合は約551万円。前回(06年度)調査で2・9倍だった公私の開きは約3倍に拡大していた。
中学受験情報誌「進学レーダー」の井上修編集長は「教育費は医療費の次に重視される。生活費を節約しても子どもの将来に投資しようと考える保護者が多いのではないか」と話している。
文部科学省日能研