大幅な予算削減計画が決定
アメリカのニュージャージー州で州政府は、合計4億7,500万ドル(約427億5,000万円)の公費を学校運営に充てる予算から削減する計画を発表した。その結果、貧困度の高い学区で多額の公費を削減されるという事態が起こっていることが地元で報じられている。
各学区を裕福度でランク分けしたとき、最も裕福度の低いグループの平均320万ドルに対し、最も高いグループの学区は平均55万7,000ドルしか削減されない。
貧困度の高い学区は通常規模が大きく、その分多くの公費を受給してきたためだ。だが郊外の学区は規模が小さい分、削減された公費が占める割合も大きい。
極端な例だと、1,400万ドルを削減されても予算の3%弱が削られたに過ぎない学区もあれば、たった26万ドルの削減が公費の35%減を意味する学区もあるのだ。
学区や学校により事情はさまざま 不公平さが浮き彫りに
金額にして最も多額の減額が行われたのはユニオン市の学区で、公費の19%近くにあたる2,900万ドル。同市市長、ブライアン・スタック氏は、「予算を削減したいという学校運営側の事情が生徒達に不利益をもたらすようなことはあってなならない」と憤る。
ジャージー海岸沿いにあるオーシャン郡シーサイドハイツ区は公費の38%に相当する35万8,000ドルが削減される。だがこの地区は、大人の学力レベル、収入、それに失業率などの社会経済的な要素を見ると貧困度が高い地区と考えられる。
貧困度の高い地区から多額の予算を返還させるというこの事態に対し、クリス・クリスティー州知事は「学校運営費はもともと税金から捻出しているので、地区の貧困度を考慮する必要はないと考えている」と語っている。
一方で、別の貧困度の高い地区の中には、公費をすべて使い切っているとの理由で全く削減が行われない地区もある。
教育関係者からは不満の声
前知事の代ですでに提案されていた今回の削減計画に対し、反対の姿勢を示す州教育委員会委員長、パトリック・ディエグナン氏は「(削減案は)非合理的だ」と批判する。
ニュージャージー州教育協会会長のバーバラ・ケシシアン氏も否定的だ。「多くの学区では、年間の予算の余剰分は翌年の学校活動費に充てるか、住民から徴収する資産税の減額措置をとってきた。きちんと予算管理をしている学区の方が多くの公費を取り上げられるのは不公平だ」と同氏は語る。
その他にも、来年度から学級数を増やす予定だった学校では芸術系の授業を減らすなどの措置をとるなど、現場は大わらわ。
これに対し州政府は「(減額は)州の予算調整上仕方がない措置。余剰分がない学校で予算をすべて使い切ってしまったら、年度の真っ只中で教員への給与が支払えないという事態が起こってしまう」と語っている。
(編集部 小川優子)
N.J.'s poorest school districts would lose $125M from budget cuts