「マイスクール」にAEUが反発
連邦政府のウェブサイト「マイスクール」に関して、国内の学校長らの大半が反発しているとする調査結果に対して、文部大臣ジュリア・ジラード氏は同サイトを擁護した。
「マイスクール」は、ACARA(オーストラリア教育課程評価報告機関)が提供する情報サービス。自分の子供が通う学校の読み書き・計算の全国統一テスト(NAPLAN)の結果も含めた学校情報を、保護者が閲覧することができる。
だがオーストラリア教職員組合(AEU)からは、「マイスクール」が表示するNAPLANの結果などの情報が、学校の評判を傷つけているとして、反発の声が上がっている。
「マイスクール」のサイトで表示されるNAPLANの結果は、成績によって学校を順位付けし、学校の実績を正確に示すことができない状態を促している、というのだ。
これに対し文部大臣ジュリア・ジラード氏は、多くの保護者に支持されていることが、「マイスクール」が提供する情報がいかに必要とされているかを物語っているとして、AEU側からの反発を退けた。
学校が笑いものに
NAPLANの結果を表示することは学校の実績を正確に表すことにはならない、というAEUの主張を政府は退けたが、ある学校の校長は、学校の評判を傷つけられたとして怒りをあらわにした。「マイスクール」で表示される結果に基づいて書かれた新聞記事の中で、この学校は州内で最もレベルの低い学校という烙印を押された、というのだ。
この学校でNAPLANを受験したのは5人。うち1人は知的障害のある生徒だったが、生徒の意思を尊重して他の生徒と一緒に受験させたのだという。また、5人のうち3人は入学して3カ月もたたない新入生だった。
この5人の成績を「学校全体の成績」として解釈するのはあまりにも不公平だ、というのだ。
だが政府は「『マイスクール』では学校をランク付けしているわけではない」として、この学校からの苦情を退けた。ジラード氏は「これまでも、そしてこれからもランク付けは行わない」と断言している。
ボイコットも検討
AEUは、今後政府がサイトの変更に応じない場合、学校がNAPLANの受験を放棄せざるをえない可能性を示している。
学校のランク付けやデータの不適切な使用が与える悪影響から、生徒や学校を守るべく政府が行動を起こしてくれないのに、生徒や地域社会が目の前で傷つけられているのを学校が指をくわえて見ているわけにはいかない、というのだ。
ジラード氏はAEUの脅しには屈しない姿勢を崩さず、AEUを訪問して考え直すよう求める姿勢を示した。
また、ジラード氏はAEUの反発は退けたものの、保護者により多くの情報を与えるという観点から、政府はサイトを改善し様々な修正を加えていくことに尽力すると語っている。
(編集部 小川優子)
My School - Find a School(ACARA)
http://www.myschool.edu.au/Gillard stares down teachers over My School
http://www.abc.net.au/news/stories/2010/03/25/2856248.htm