ショウジョウバエの実験で
理化学研究所は6月24日、親が受けたストレスによる遺伝子発現変化がDNA配列の変化を伴わずに子どもに遺伝する新たなメカニズムを発見したと発表した。
学校で遺伝やメンデルの法則などを習ったのを覚えている人は多いだろう。この頃から理科が嫌いになったという人もいるかもしれない。遺伝といえば、DNAによってのみ親から子へ形質が伝えられるものだと考えがちだが、それ以外にも遺伝情報を伝えることがあるそうだ。突然変異などは、DNAの配列が変化し、それが子どもに伝えられるものだが、植物では、ストレスなどによって変化した形質が、DNA配列の変化なしに遺伝することがわかってきたようだ。動物では、そうした報告はあるものの、メカニズムはまだ解明されていないという。
今回は、ショウジョウバエの実験で、熱や浸透圧のストレスを与えると目が赤くなる仕組みを解明し、それが子どもに遺伝することがわかったという。その場合、子どもだけに遺伝し、孫には遺伝しないが、二世代に熱ストレスを与えると、その子どもだけでなく孫にも遺伝することがわかったという。これは、ストレスがなくても、それが子々孫々まで遺伝する可能性があることを示しているという。
親のストレスが子どもの病気に影響?
親が受けたストレスが、子どもの病気が発症する頻度に影響する可能性が示されるものだという。今後に対する期待については、「代謝ストレス、感染ストレス、精神ストレスなどによるこれらの遺伝子の発現変化が次世代に遺伝し、生活習慣病、免疫、精神疾患、がんなどの病気の発症に影響するかどうかを解析していきます。」としている。
理化学研究所|日本語トップページ親の受けたストレスは、DNA配列の変化を伴わずに子供に遺伝|2011年 プレスリリース|理化学研究所